令和6年度 福岡大学筑紫病院 病院情報の公表

 

 病院情報の公表とは、DPCデータを基に厚生労働省が定めた集計条件等に基づき、全国統一の定義と形式で作成するもので、市民の皆さんに情報公開を進めることにより、当院の特徴や急性期医療の現状を理解していただくことを目的としています。

 現在公表している病院の情報は、令和6年度(令和6年6月1日~令和7年5月31日)中に当院を退院した患者さんのデータを集計の対象として作成しています。ただし、来院時心肺停止を含む入院後24時間以内に死亡した患者さんのデータは集計対象外となります。

 また、個人情報が特定できないようにするために、指標のなかで患者数10未満の数値は「-」と表示しています。

DPCとは

 入院患者さんを病気と治療方法によって分類し、その分類ごとに国が定めた1日当たりの入院費を包括支払いとして計算する制度です。

 

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 703 309 184 277 504 871 1435 2473 1633 391
地域医療支援病院であり大学病院である当院は、幅広い年齢層の患者さんに医療を提供しています。最も多い年齢層は70~79歳でした。また60歳以上の患者さんの占める割合が約7割となっており、地域社会の高齢化を反映しています。
平成25年度以降、年齢階級の分布に大きな変化は見られません。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

 DPCでは入院患者さんの情報が病気と治療方法(手術や処置など)によって3,248種類(包括対象外の分類も含む)の診断群に分類されます(令和6年度分類数)。ここでは診療科ごとに患者数上位5つの診断群分類について集計しています。ただし、包括対象外となるDPC分類は集計に含まれません。それぞれの項目に関しては以下の通りです。

DPCコード

 診断群分類を表すコードです。病気と治療方法の組み合わせによって分類されますので、同じ病気でも治療方法が違えばDPCコードは異なります。

名称

 どのような病気と治療方法で分類されているかを表します。

平均在院日数(自院)

 病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。

平均在院日数(全国)

 厚生労働省より公表される令和6年度における全国のDPC対象病院の在院日数の平均値です。

転院率

 該当する患者数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者さんの割合です。

 

循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症などの冠動脈形成術・冠動脈ステント留置術(心臓カテーテル治療) 190 5.51 4.18 0.53% 71.28
050050xx9910xx 狭心症などの心臓カテーテル検査 144 3.17 3.07 0.00% 69.39
050210xx97000x 不整脈のペースメーカー手術 37 10.84 9.59 8.11% 81.30
050130xx9900x0 心不全の治療 27 13.33 17.33 40.74% 83.37
050070xx03x0xx 心房細動などの経皮的カテーテル心筋焼灼術 21 5.57 4.47 0.00% 72.76
心疾患は三大疾病・三大死因の一つとなっています。
 循環器内科で最も多い入院症例は狭心症や心筋梗塞などに対する心臓カテーテル治療のための入院、および治療前、治療後の心臓カテーテル検査のための入院で、合わせて循環器内科の集計患者の約40%を占めます。
 次いで多い症例は徐脈性不整脈(心臓の電気刺激が遅れたり途絶する)に対するペースメーカーの移植術、もしくはペースメーカーの電池消耗による電池交換術です。ペースメーカーは心臓に電気刺激を送って正常な脈拍を維持する医療機器です。
 また高齢化に伴い心不全の患者さんも多く診療しています。心不全の患者さんの平均年齢は83.37歳で、狭心症などに比べると平均年齢が高くなっています。心不全治療は投薬・リハビリによるものが多く、約4割の患者さんは当院での治療後、転院して継続治療やリハビリをされています。
内分泌・糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病の血糖コントロール インスリン注射あり 54 12.43 13.77 0.00% 62.54
100040xxxxx00x 2型糖尿病・ケトアシドーシスの治療 19 13.68 13.07 10.53% 61.26
100202xxxxxx0x 副腎皮質機能低下症に対する検査・治療 17 7.53 8.86 0.00% 56.71
100180xx99001x 副腎皮質機能亢進症等の検査・治療 10 4.60 7.96 0.00% 71.90
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎の治療 10 17.30 20.78 40.00% 82.40
 内分泌疾患は、脳下垂体、副腎、甲状腺などのホルモン分泌を行っている臓器に異常が起こる病気であり、多種多様な症状の原因となることがあります。当院では副腎の診断と治療が多いのが特徴です。また脳神経外科、腎泌尿器外科、耳鼻咽喉・頭頸部外科と連携し、当院において治療を完結できるようになっています。
 また、症例の多い2型糖尿病に対し血糖マネジメントや、合併症精査、教育入院、ケトアシドーシスを伴う患者さんへの集中治療を行っており、チーム医療により総合的な治療が可能となっています。また、外科・眼科などの手術前に血糖改善目的で入院することもあります。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺癌の検査 88 3.85 3.03 1.14% 71.31
0400802499x0xx 細菌性肺炎の治療 56 14.14 16.40 42.86% 83.84
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸症候群の検査 34 2.00 2.02 0.00% 57.47
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎の治療 33 14.85 20.78 36.36% 83.03
040040xx99041x 肺癌の化学療法(CDDP+vp-16療法等) 30 9.10 13.08 0.00% 73.27
 当院では、肺癌、慢性閉塞性肺疾患および呼吸器感染症、気管支喘息など幅広い疾病に対応できる診療体制を整えています。
 最も多い症例は肺癌の診断のための気管支鏡検査を目的とした入院となっています。
 また肺癌と診断され薬物療法が必要な患者さんに対し、適切な治療方法を提示・提供を行っています。
 細菌感染による肺炎、加齢や脳卒中などの病気による嚥下機能低下で起こる誤嚥性肺炎に対する症例も多く、適切な投薬治療、リハビリ等の治療を行っています。また肺炎の治療は、肺癌の治療などと比較すると平均年齢・入院日数・転院率とも高い傾向にあります。
 市中肺炎のデータに関しては、「病院情報の公表4.成人市中肺炎の重症度別患者数等」もご参照ください。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 大腸ポリープの内視鏡的治療 511 2.36 2.57 0.59% 67.57
060340xx03x00x 胆石、胆管炎の治療 233 7.86 8.88 8.58% 74.02
060020xx04xxxx 胃癌の内視鏡的治療 89 7.00 7.45 0.00% 72.00
060180xx01x0xx クローン病の腸管拡張術等の治療 52 4.40 6.62 1.92% 47.60
060102xx99xxxx 大腸憩室出血等の治療(手術なし) 52 7.10 7.60 0.00% 66.52
 消化器内科では胃・大腸・直腸などの管腔臓器や、肝臓・胆嚢・胆道や膵臓の実質臓器の診療を行っています。
 消化器内科の最も多い入院症例は大腸ポリープの内視鏡的治療になります。ほぼ2泊3日の入院で、下部消化管内視鏡(大腸カメラ)によるポリープ切除治療を行っています。
 次いで多い入院症例が胆石や胆管炎といった胆道疾患になります。胆石で胆管が詰まって炎症を起こすなどが典型的な症例で、胆管をチューブで広げる、胆石を除去する、膿瘍を取り除くなどの治療が内視鏡を用いて、もしくは、経皮的に行われます。
 他に消化管の内視鏡的治療の一例として、胃癌に対する治療があります。早期胃癌に対して上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて治療を行います。内視鏡的胃粘膜下層剥離術(ESD)が主な治療方法となっています。
腎臓内科
 腎臓内科は慢性腎臓病や急性腎障害等の治療を専門に行っています。
 腎臓内科は令和7年4月に開設され集計期間が2か月であるため、集計対象となるDPC上位5位の件数が10未満であり、数値、各項目は表示しません。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080270xxxx1xxx 食物アレルギーの負荷試験、検査 102 2.00 2.10 0.00% 4.86
0400801199x0xx 細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎の治療 102 6.75 5.61 0.00% 6.14
040070xxxxx0xx RSウイルス肺炎、インフルエンザウイルス肺炎の治療 50 6.86 6.98 4.00% 2.08
010230xx99x00x てんかんの治療 46 5.59 6.89 0.00% 5.61
150040xxxxx0xx 熱性痙攣の治療 35 5.97 3.51 0.00% 2.11
 小児科で最も多い入院症例は食物アレルギーの検査入院です。近年小児科領域では食物アレルギーの患者さんが増加しています。当院小児科では入院にて安全に食物経口負荷試験を行っています。
 またマイコプラズマなどの細菌が原因の細菌性肺炎の治療やRSウイルス肺炎、インフルエンザウイルス肺炎といったウイルス性肺炎の症例が多くなっています。ウイルス性肺炎の患者さんの平均年齢が1歳~3歳ほどであり、小さなお子さんの呼吸器治療の重要性がわかります。
 他に多い入院症例として小児に発病するてんかん、急な発熱に伴うけいれんの治療です。特別な治療が不要なケースもありますが、てんかんの場合の多くは正確な診断と抗てんかん薬の服用等による治療を行います。
 小児患者の多くは当院退院後、かかりつけの医院にフォローをお願いしています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニアの手術 72 6.19 4.54 0.00% 70.53
060035xx0100xx 結腸癌の手術 62 16.58 14.81 3.23% 70.48
060330xx02xxxx 胆のう結石症の手術 45 7.44 5.99 0.00% 64.16
060020xx02xxxx 胃癌の手術 41 15.27 18.48 2.44% 70.56
060335xx0200xx 胆のう炎の手術 30 7.70 7.05 3.33% 62.80
 外科では消化器疾患や一般外科の手術、手術前および手術後の化学療法(抗がん剤治療)、手術後の定期的なフォローなど治療部位や治療内容ごとに多種多様な症例に対応しています。良性疾患や悪性腫瘍の手術だけでなく、救急搬送され同日緊急手術となる疾患まで幅広く取り組んでいます。中でも鼠経ヘルニアの手術、悪性疾患である結腸癌や胃癌の手術、胆道疾患である胆のう結石や胆のう炎の症例が多くなっています。
呼吸器・乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx02xxxx 乳癌の手術(部分切除術)(リンパ節郭清を伴わない) 52 6.33 5.50 0.00% 65.19
040040xx02x0xx 肺癌の手術 50 14.20 9.82 4.00% 73.66
090010xx010xxx 乳癌の手術(部分切除術・全摘術)(リンパ節郭清を伴う・伴わない) 31 13.32 9.77 0.00% 65.97
090010xx99x30x 乳癌の化学療法 12 2.33 5.48 0.00% 59.83
090010xx97x0xx 乳癌のCVポート留置術 11 3.82 6.48 9.09% 60.27
 呼吸器・乳腺外科では乳癌のリンパ節郭清を伴わない部分切除術が最も多い症例です。乳癌手術は乳房切除術・乳房温存術(部分切除術)・腋窩リンパ節郭清・センチネルリンパ節生検など患者さんの個々の状態に合わせた手術や、抗がん剤(分子標的薬剤を含む)を組み合わせた集学的治療を実施しています。
 次いで多い症例は肺癌の手術です。早期肺癌に対して胸腔鏡手術を行っております。開胸手術に比べ、痛みが少なく回復が早いため早期の退院が可能となっています。また進行肺癌に対しても呼吸器内科と協力し、集学的治療を行っています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070230xx01xxxx 変形性膝関節症の手術 74 17.72 21.38 81.08% 75.35
160800xx02xxxx 大腿骨骨折の手術 65 18.71 25.29 93.85% 80.91
160610xx01xxxx 肩腱板断裂の手術 56 15.23 16.15 94.64% 66.86
160620xx01xxxx 膝半月板断裂、膝靭帯断裂の手術 51 13.98 12.71 31.37% 38.39
07040xxx01xxxx 原発性股関節症の手術 44 18.93 18.76 95.45% 70.07
 整形外科は、骨、関節、筋肉、腱、神経などの運動器の病気や外傷の治療を行う診療科です。
 当院で最も多い症例は、人工関節が必要となる関節疾患である変形性膝関節症の手術です。また原発性股関節症に対する手術も多く行っています。
次いで多い症例は大腿骨骨折に対する手術、肩腱板断裂、膝半月板や靭帯断裂に対する手術です。
平均年齢を見ると関節症や大腿骨骨折は高齢の患者さん、膝半月板・靭帯断裂は若い世代の患者さんが比較的多く含まれることが分かります。また、多くの患者さんが当院で手術後に継続リハビリを目的として、リハビリ治療をより専門とする病院に転院されているため、他診療科と比較し転院率が高くなっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 急性期脳梗塞の治療(投薬:エダラボン) 102 18.67 16.89 49.02% 74.96
010030xx991xxx 脳動脈瘤の検査 99 5.28 2.86 0.00% 61.94
010060xx99x20x 急性期脳梗塞の治療(リハビリテーション) 52 16.31 16.94 42.31% 76.96
160100xx99x00x 急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血の治療(手術なし) 47 10.40 7.99 25.53% 65.34
160100xx97x00x 急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血の治療(手術あり) 41 12.85 9.83 26.83% 73.98
 脳神経外科では、脳を中心に脊髄・神経などの病気の患者さんを診療しており、その中でも急性期脳梗塞に対する治療の入院が最も多い症例となっています。当院では脳梗塞の患者さんに対し24時間365日対応しており、発症時期や患者さんの状態により適切な治療を提供しています。
次いで多い症例は脳動脈瘤に対する検査のための入院です。脳動脈瘤とは、脳の血管に瘤が出来る病気で、この瘤が破裂するとくも膜下出血を起こしてしまいます。脳動脈瘤が破裂する前に検査、治療を行い、出血を防ぐよう努めています。検査入院では脳血管造影などを用いて、手術前の脳動脈瘤の状態を確認し、治療方針を計画します。
 また急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血に対し患者さんの状態に応じて手術加療、保存治療を選択し適切な治療を行っています。
 脳梗塞のデータに関しては、「指標5.脳梗塞の患者数等」もご参照ください。
腎泌尿器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺癌の検査 41 2.27 2.45 0.00% 73.10
11012xxx03xxxx 尿路結石の体外衝撃波結石破砕術治療 31 2.35 2.40 0.00% 60.71
110070xx03x20x 膀胱癌の経尿道的手術および化学療法(膀胱内注入) 22 9.45 6.63 0.00% 76.18
110070xx03x0xx 膀胱癌の経尿道的手術 21 12.05 6.81 4.76% 78.33
11012xxx02xx0x 尿路結石の経尿道的尿路結石除去術 13 5.69 5.16 0.00% 63.69
 腎泌尿器外科では前立腺癌の検査入院が最も多くなっており、針生検による1泊2日の検査入院です。
 次いで多い症例は尿路結石(尿管結石や腎結石)の治療を受けられる患者さんです。術式によってDPC分類が分かれていて、衝撃波で結石を砕く体外衝撃波結石破砕術やレーザーなどを用いて結石を破砕する経尿道的結石除去術があります。患者さんの状況に合わせて、術式を決定しています。
 次に多いのが膀胱癌に対する内視鏡を用いた手術(経尿道的手術)の入院となります。また、手術後に切除された病変の病理診断結果を勘案して推奨される2度目の経尿道的手術なども行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx1 白内障の手術(両眼) 179 4.50 4.29 1.12% 75.53
020110xx97xxx0 白内障の手術(片眼) 125 3.22 2.49 0.00% 73.73
020160xx97xxx0 網膜剥離の手術(片眼) 39 5.85 7.53 0.00% 57.21
020200xx9710xx 網膜前膜、黄斑円孔の手術 27 4.89 5.47 0.00% 67.56
020220xx97xxx0 緑内障の手術(片眼) 24 4.00 4.52 0.00% 75.67
 白内障は高齢化社会の今、ほとんどすべての高齢者の方がお持ちの疾患といえます。当院でも白内障の手術目的の入院が最も多くなっています。令和6年度における両眼の白内障の患者さんは、おおよそ4~5日の入院で片眼を手術した2日後にもう一方の眼の手術を受けていただいています。片眼の白内障手術が必要な患者さんは、おおよそ3日の入院で手術を行うことが多いです。
 白内障以外の疾患としては、網膜剥離や黄斑円孔などの網膜硝子体疾患、緑内障があります。
※なお、諸般の事情により令和7年8月より診療体制が変更しています。詳しくは当院ホームページをご参照ください。
耳鼻咽喉・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 慢性扁桃炎、扁桃肥大の治療(手術あり・なし) 82 7.35 7.35 0.00% 17.61
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎の治療(手術あり・なし) 73 4.44 5.84 0.00% 52.75
030240xx99xxxx 急性喉頭蓋炎、急性扁桃炎の治療(手術なし) 19 4.63 5.63 0.00% 40.53
030150xx97xxxx 耳下腺・顎下腺、咽頭等の良性腫瘍の手術 15 4.53 6.68 0.00% 50.53
030240xx01xx0x 扁桃周囲膿瘍の治療(手術あり) 15 7.40 7.65 0.00% 34.27
 耳鼻咽喉・頭頸部外科は慢性扁桃炎や扁桃肥大で手術を行う症例が最も多くなっています。
 その他、慢性副鼻腔炎や咽頭蓋炎症、扁桃周囲膿瘍などの口腔・咽頭領域の疾患や耳・鼻・口腔・咽頭等の良性腫瘍といった疾患が挙げられます。
 また耳鼻咽喉科・頭頸部外科は他診療科に比べ平均年齢が低い傾向があります。中でも慢性扁桃炎・扁桃肥大は、小児に対して手術することも多いため、一段と平均年齢が低くなっています。
救急・総合診療科
 救急・総合診療科は救急医療を専門的に行う診療科として、心肺停止症例や重症中毒症例などに対応します。
 救急・総合診療科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

 5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。「初発」とは、当院において、その癌の診断あるいは初回の治療を実施した場合を指します。「再発」とは、当院もしくは他院で初回治療が完了した後に当院にて診療する場合や、治療後に再発、再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。集計は、令和6年度中に退院した延患者数となっています。つまり、集計対象期間中に複数回入院された患者さんは複数例としてカウントしています。

 ※10症例未満のものは表中‐(ハイフン)で表示しています。

UICC病期分類

 国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つの要素によって各癌をⅠ期(早期)~Ⅳ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。

 

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 101 - 15 - 27 52 1 8
大腸癌 53 46 57 53 17 47 2 9
乳癌 19 84 16 17 - 10 1 8
肺癌 42 - 20 63 86 61 1 8
肝癌 17 21 10 - 14 51 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院は消化器内科で胃癌、大腸癌、肝癌の患者さんを、呼吸器内科で肺癌の患者さんを主に診療しています。また、外科では胃癌、大腸癌、肝癌を、呼吸器・乳腺外科では肺癌、乳癌の患者さんを診療しています。
 胃癌は早期であるⅠ期の患者さんの割合が高くなっています。これは、早期発見、早期治療により、内視鏡的治療といった比較的患者さんへの負担の少ない治療が可能となっていることが表われていると言えます。
 その一方、Ⅲ期やⅣ期といった患者さんの数も少なくはなく、手術や化学療法など患者さんの状態に合わせた治療を実施しています。
 肺癌や乳癌のⅣ期の患者さん・再発の患者さんのなかには、数週間~1ヶ月ごとに化学療法目的の入院を繰り返す方がいらっしゃいます。
 胃、大腸、肺の各癌の手術治療について、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた手術を多数行っており、患者さんの負担の軽減に努めています。
 肝癌は治療後に再発することが多い病気です。当院の患者さんも肝癌初発治療後の再発として、入院治療される方の割合が高いことが分かります。
 なお、UICC病期分類が不明に分類されている症例については、治療前の検査入院に該当する患者さんが多くなっています。これは、入院中に検査結果が出ていない場合や、遠隔転移の有無の評価を退院後に行う場合などで、当該入院中にUICC病期分類が決定できなかったことが理由です。特に肺癌の検査入院ではその傾向があります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

 成人の市中肺炎の患者さんの人数を重症度別に集計しました。成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システムを用いています。患者さんの①年齢、②脱水、③呼吸、④意識障害、⑤収縮期血圧のそれぞれの状態を因子とし、軽症・中等症・重症・超重症の4段階に分類します。

 この指標では細菌による肺炎を集計しており、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)などのウイルスによる肺炎や食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎などは集計対象外となっています。また成人の肺炎の指標なので、小児肺炎も集計対象外となります。

 ※10症例未満のものは表中‐(ハイフン)で表示しています。

市中肺炎

 病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎(成人市中肺炎診療ガイドラインより)のことです。

平均在院日数

 病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。

 

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 15 7.47 46.73
中等症 65 12.14 78.15
重症 10 17.80 84.60
超重症 - - -
不明 - - -
 患者数が最も多いのは中等症です。重症度が上がるごとに平均在院日数が長くなり、平均年齢が上がるごとに重症化する傾向であることが分かります。
 成人市中肺炎診療ガイドラインでは軽症は外来治療が推奨される重症度となっており、入院加療の適応ではないことがあります。しかし、軽症の患者さんであっても慢性疾患があったり、癌の既往があったりして重症化を危惧され入院となるケースもあります。
 なお、重症および超重症の患者さんの約7割が救急車によって搬送されています。主に呼吸器内科にて、重症肺炎患者さんの救急受入れを行っています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード

 脳梗塞の患者さんを集計しました。

平均在院日数

 病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。

転院率

 脳梗塞の退院患者数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者さんの割合です。

 

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 176 19.08 75.61 43.63%
その他 28 18.54 77.11 5.39%
 当院では血栓を溶かす薬による点滴治療(血栓溶解療法)やカテーテルによって血栓を除去する治療(脳血管内治療)に24時間365日対応しています。
 発症日から3日以内の急性期脳梗塞が176件あり、集計対象の8割以上を占めます。平均在院日数は19日程度で、そのうち4割以上の患者さんが回復期リハビリを行うため、リハビリを専門とする病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

 診療科ごとの主要手術について患者数上位5つを集計しています。手術(処置)のなかで輸血、創傷処理、皮膚切開術、非観血的整復術、徒手整復術等の軽微な手術は集計対象外となっています。病院情報に示されるそれぞれの項目に関しては以下の通りです。

Kコード

 手術術式の点数表コードです。

名称

 手術術式の名称です。

平均術前日数

 入院日から手術日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。

平均術後日数

 手術日から退院日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。

転院率

 該当する患者数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者さんの割合です。

 

循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 159 2.19 3.58 1.89% 71.11
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 48 1.75 2.54 2.08% 70.77
K5483 経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの) アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテルによるもの 38 3.21 3.11 2.63% 74.76
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 22 1.91 2.86 0.00% 73.00
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 19 8.21 9.16 10.53% 71.89
 循環器内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術という心臓カテーテル治療の症例が多くなっています。心臓カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓まで管を通して血管の内側からバルーン(風船)やステント(金属)で拡げ、心臓の血流を回復させる治療です。即日入院して緊急で行う場合や検査と同時に行う場合、検査から日数を空けて行う場合、検査後に一旦退院して再入院して行う場合など患者さんの状況に合わせて手術が行われます。
 経皮的カテーテル心筋焼灼術とは、心房細動という不整脈に対しカテーテルを用いて原因を同定し、原因である部位にカテーテルを用いて心筋焼灼を行い不整脈を根治する治療です。
内分泌・糖尿病内科
 内分泌・糖尿病内科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
呼吸器内科
 呼吸器内科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 464 0.27 1.04 0.00% 67.97
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 223 0.74 10.06 11.21% 74.69
K6852 内視鏡的胆道結石除去術 その他のもの 82 1.10 1.98 3.66% 72.57
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 68 1.06 5.29 0.00% 75.15
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 61 0.98 4.90 0.00% 65.34
 消化器内科では、大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の患者数が最も多くなっています。この手術は、内視鏡を用いてスネアという輪状の針金などでポリープを切除するものです。大腸ポリープは大腸癌の前がん病変として重要であり、ポリープを摘出することで大腸癌を予防できると言われています。
 内視鏡的胆道ステント留置術は胆道疾患に対して行われる手術です。様々な病態で狭窄した胆道にチューブを通して拡張し、プラスチックや金属でできたステントを内視鏡で留置し、胆汁の流れを良くする手術です。この手術は、胆石症に対する内視鏡的胆道結石除去術などの他の手術の前段階として行われることも多く、術後日数が長くなる傾向にあります。
 内視鏡的胆道結石除去術は、口から挿入した十二指腸用内視鏡で胆管の出口(十二指腸乳頭部)を広げ(切開またはバルーン拡張)、バスケットカテーテルなどで胆管内の結石を取り出す治療法です。
 早期胃癌や早期大腸癌に対して、内視鏡で行う治療が粘膜下層剥離術です。胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを切り剥がし、病変を一括切除するという治療法です。
腎臓内科
 腎臓内科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
小児科
 小児科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 88 1.75 5.49 2.27% 64.97
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 67 4.57 12.45 7.46% 71.00
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 66 1.86 3.36 0.00% 69.73
K655-22 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術 30 2.97 12.23 0.00% 69.10
K726-2 腹腔鏡下人工肛門造設術 22 13.32 14.00 0.00% 71.23
 外科で最も多い手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術で、胆嚢炎や胆石症などの胆嚢疾患に対する手術です。急性胆嚢炎に対する治療方針は、東京ガイドライン2018に沿って決めています。腹腔鏡下で行うことで手術に対する患者さんの負担をできるだけ少なくするように努めています。
 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍手術、腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術、腹腔鏡下胃切除も同様で、患者さんの体にやさしい侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。また直腸・胃の悪性腫瘍手術については令和6年12月からロボット支援手術も行っています。
 外科では、消化器系の悪性および良性疾患、ヘルニアや、クローン病に対する手術など、定時手術から緊急手術まで幅広く取り組んでいます。
呼吸器・乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 54 1.59 4.06 0.00% 65.06
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 37 3.08 13.78 5.41% 74.14
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 17 1.06 10.41 17.65% 65.82
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 15 2.73 9.93 0.00% 67.80
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 12 1.92 7.17 8.33% 71.33
 呼吸器・乳腺外科では乳癌に対する手術を最も多く行っています。乳癌の手術は切除範囲(部分切除・全切除・リンパ節郭清の有無)で細分化されています。当院では患者さんの状態や希望に沿った適切な手術を行っております。
 次いで肺癌に対する胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除または1肺葉を超えるものを行っています。胸腔鏡下で手術を行うことで、手術に対する患者さんの負担をできるだけ少なくするように努めています。また肺癌手術については令和6年12月からロボット支援手術も行っています。
 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合)はポートとよばれる埋め込み型カテーテルを頚部などの太い血管に設置する手術です。リンパ節転移が多い、腫瘍が大きいなど進行している乳癌の患者さんなどに対し、術前に抗がん剤治療を行うことがありますが、治療期間が一般的に3~6ヶ月と長期にわたるため血管を傷つける静脈炎を防ぐ目的で行われます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 135 1.32 15.79 88.15% 73.53
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 90 3.51 12.21 74.44% 71.60
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 59 3.05 7.54 20.34% 58.49
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術 簡単なもの 59 1.12 12.95 93.22% 65.75
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 49 2.90 8.49 32.65% 56.55
 整形外科で最も多い手術は変形性関節症の患者さんに対し、関節を人工関節に置き換える人工関節置換術です。その中でも半数以上が膝関節に対する手術です。
 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿)においては大腿骨に対する手術が約5割、上腕骨に対する手術が約4割となっています。
 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨)においては前腕に対する手術が約6割となっています。
 肩腱板断裂手術に関しては、ほとんどの手術を関節鏡視下で行い、患者さんの体への負担が比較的少なくて済むように努めています。 
 大腿・肩・膝に対する手術を行った場合、術後急性期を過ぎれば転院してリハビリを継続していただくことが多くなっています。そのため、整形外科では転院率が高くなっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 43 1.14 15.14 37.21% 79.35
K1783 脳血管内手術 脳血管内ステントを用いるもの 21 5.57 7.38 4.76% 65.48
K178-4 経皮的脳血栓回収術 15 0.47 25.20 80.00% 76.40
K1781 脳血管内手術 1箇所 15 2.60 10.40 6.67% 64.60
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 13 8.92 7.92 7.69% 73.62
 脳神経外科では脳血管内手術を多く施行しています。大腿の血管から脳まで管を通して病変を治療する手術です。脳動脈瘤に対するコイル塞栓術が主な症例になります。脳血管内手術は脳血管内ステントを用いるかどうかで集計が分かれます。脳血管内ステントは、動脈瘤頸部の広い脳動脈瘤の治療時に親動脈にステントを留置し、塞栓したコイルが親動脈に落ちるのを防ぐためのものです。
 経皮的脳血栓回収術は脳梗塞に対して行う手術で、脳の血管に詰まった血栓を、特殊なステント(血栓をからめとる)や 吸引カテーテル(血栓を吸い出す)を用いて取り除くものです。緊急を要する手術のため開始されるまでの時間には、来院時からの診断と治療を迅速に行う、チーム医療を必要とします。
 最も多い手術は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術です。慢性硬膜下血腫に対して、頭蓋骨に孔を開け、硬膜を切開し溜まった血液(血腫)を洗浄除去する手術です。高齢の患者さんの割合が高く、入院後緊急での手術となることも少なくありません。
脳血栓回収術、硬膜下血腫穿孔洗浄術とも手術後の状態が落ち着くと、継続治療およびリハビリのために多くの患者さんが転院されます。
腎泌尿器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 45 2.18 8.33 2.22% 77.91
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 30 0.10 1.27 0.00% 61.03
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 20 0.50 8.35 5.00% 66.35
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 14 1.14 3.64 0.00% 61.36
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 - - - - -
 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術は早期の膀胱癌に対して、尿道から膀胱内へ入れた内視鏡下で病巣を切除する手術です。開腹による腫瘍切除手術に比べて患者さんの体への負担が少ない治療方法です。
 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術は尿路結石を衝撃波により細かく砕き、体外への排出を容易にするための治療です。
 経尿道的尿管ステント留置術、経尿道的尿路結石除去術は腎臓と膀胱をつなぐ管である尿管が腫瘍、結石など何らかの原因で狭くなったり、塞がってしまったりする状態を改善するための治療です。 
 腎臓や腎盂、尿管癌に対する手術の腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術は腹腔鏡下で行うことで手術に対する患者さんの負担をできるだけ少なくするように努めています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 281 1.00 1.99 0.36% 74.59
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 49 1.14 2.98 0.00% 65.96
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 20 1.00 1.90 0.00% 75.05
K2686 緑内障手術 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術 19 1.11 2.05 0.00% 74.53
K281 増殖性硝子体網膜症手術 18 1.22 3.78 0.00% 64.94
 眼科では、白内障に対する手術である水晶体再建術が集計対象手術件数の6割以上を占めます。大部分の方は入院翌日に手術を受けることができる体制を整えています。術後は早期の退院を目指しています。
 次いで挙げられるのが、硝子体茎顕微鏡下離断術です。増殖糖尿病網膜症や網膜剥離、黄斑円孔などの網膜硝子体疾患に対する手術です。
 緑内障手術 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術は超小型のドレーン(ステント)を眼内の排水経路に挿入し、眼内の房水排出を促進して眼圧を下げる手術です。
 増殖硝子体網膜症手術は網膜剥離を長期間放置していた場合や、眼内の炎症が強い症例、手術後の再剥離など重度の網膜剥離に対して行う手術です。 
 硝子体茎顕微鏡下離断術、緑内障手術とも、ほとんどの場合白内障手術を同時に行っています。
※なお、諸般の事情により令和7年8月より診療体制が変更しています。詳しくは当院ホームページをご参照ください。
耳鼻咽喉・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 79 1.08 6.25 0.00% 19.11
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術IV型(汎副鼻腔手術) 42 1.05 2.48 0.00% 51.43
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 21 0.90 2.43 0.00% 57.90
K340-4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術II型(副鼻腔単洞手術) 16 0.94 2.31 0.00% 58.06
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 12 0.00 4.00 0.00% 33.50
 耳鼻咽喉・頭頸部科では扁桃炎・扁桃周囲膿瘍と副鼻腔炎における手術が多いのが特徴です。
 副鼻腔はいくつかの空洞があり鼻腔とつながっています。副鼻腔手術は、副鼻腔の病的な粘膜を取り除き、各副鼻腔をひと続きの空洞として鼻腔へ大きく開放するものです。Ⅳ型はすべての副鼻腔を開放する手術、Ⅲ型は複数の副鼻腔を開放する手術です。
 慢性扁桃炎に対し行う口蓋扁桃摘出術は小児期の患者さんに行うことも多いため、他の手術に比べ平均年齢も低くなっています。扁桃炎にアデノイド増殖症を伴う場合は、アデノイド切除術を同時に行うこともあります。
救急・総合診療科
 救急・総合診療科の集計対象となる件数は10未満であり、数値、各項目は表示しません。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード

 医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして、播種性血管内凝固症候群、敗血症、真菌症、手術・処置等の合併症について、入院契機病名の同一性の有無を区別して患者数と発生率を集計しました。

DPC

 14桁あるDPCコードのうち、先頭6桁で集計しています。DPCコード6桁とは病名による分類を表しており、治療方法は分類に関連しません。

播種性血管内凝固症候群(DIC)

 外傷や癌、細菌による重度の感染症などの疾病をきっかけとして全身の血管に血栓が多発し、重篤な臓器障害や、血液を固める成分が減るため出血しやすくなる非常に重篤な病態です。

敗血症

 細菌感染が血液や全身に広がることで起こる重篤な全身感染症です。

その他の真菌感染症

 真菌(カビの総称)による感染症です。

手術・処置等の合併症

 手術や処置などに一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。合併症はどのような術式でもどのような患者さんでも一定の確率で起こり得るもので、医療過誤とは異なります。

入院契機

 入院契機病名とは入院する根拠となった病名です。「同一」とは入院契機病名の治療を行ったことを表します。「異なる」とは、ある病気の診療目的で入院したが、併発していた、もしくは入院中に発症した違う病気による治療が主になってしまったことを表します。

発生率

 全入院患者さんのうち、該当するDPCで入院した患者さんの割合です。

 ※10症例未満のものは表中‐(ハイフン)で表示しています。

 

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 12 0.14%
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 18 0.20%
異なる 21 0.24%
 播種性血管内凝固症候群(DIC)について、DPC病名と入院契機病名が異なる場合の入院契機病名として挙げられるのは、腎・泌尿器の感染症や消化器疾患(炎症や悪性疾患)などでした。それらの疾患により入院した後、さらに全身状態が悪化し、播種性血管内凝固症候群(DIC)や敗血症といった重症な病態になってしまった症例です。

 入院時から手術・処置等の合併症として診断された症例では胃や大腸の内視鏡的治療後の消化管出血、人工関節置換術後の人工関節のゆるみや感染などがありました。
 入院後の手術・処置等の合併症にあたる症例としては、術創部の感染や縫合不全、胃や大腸の内視鏡的治療後の消化管出血、人工関節や挿入カテーテルの感染などがありました。
 手術や処置等は合併症を起こさないように細心の注意を払って施行しています。しかし、合併症はどうしても一定の確率で起こり得ます。起こり得る合併症については、事前に可能な限り患者さんに説明したうえで、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
913 829 90.80%
 手術中は長時間ベッドに横たわり同じ体勢を取り続けること、手術の影響で止血機能が亢進することから血栓(血の塊)が発生し血流を妨げて血栓症が発生しやすくなります。
 肺血栓塞栓症発症リスクレベルが「中」以上の手術を実施した患者さんのうち、予防対策(※)を行った実施率を集計しました。

※肺血栓塞栓症の予防対策
  ・弾性ストッキング、間歇的空気圧迫装置の使用。
  ・抗凝固療法(抗凝固薬の投与)。
   抗凝固薬:血液の凝固を防ぎ、異常な血栓の形成を防ぐ薬(血液サラサラの薬)
 
 当院では静脈血栓塞栓症のリスク評価を行い予防法を決定し、肺血栓塞栓症の予防に努めています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
121 923 76.16%
 血液培養は採血した血液中に存在する菌を育て、検出する検査です。菌を明らかにすることで、治療に有効な抗菌薬を選択することができます。
 血液培養の検査実施のうち、血液培養を1日2回以上実施した割合を集計しました。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
559 461 82.47%
 広域スペクトル抗菌薬とは、幅広い種類の細菌に効果を示す抗菌薬のことです。
広範囲の細菌に効果が期待できる一方で、薬剤耐性菌の選択リスクも高まるため、使用には注意が必要です。

 細菌培養同定検査は、細菌感染が疑われる場合に診断目的で行われます。
病変部位(口腔、血液、穿刺液、消化管など)から検体を採取し、培養によって細菌の有無・菌量および菌種を確認する検査です。

 広域スペクトル抗菌薬を処方された患者さんのうち、投与日までの期間に細菌培養検査が実施された割合を集計しました。
 当院では、細菌培養検査を積極的に行い、多職種の医療スタッフが連携する抗菌薬適正使用チームにより、適切な抗菌薬の処方に努めています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
87971 100 1.14%
 期間中の退院患者の在院日数に対する、転倒・転落の件数の割合です。
 原因として、入院という環境の変化・疾患そのもの、治療や手術によるものなど様々な要因があり、歩行困難な方や高齢者の多い病院など、病院機能によって発生比率も異なります。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
87971 17 0.19%
 期間中の退院患者の在院日数に対する、「インシデントレベル3b以上」の転倒・転落の件数の割合です。

 ※インシデントレベル3b:一過性で高度に生じた障害に対し濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸の装着、手術、入院日数の延長、骨折など)
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
1784 1781 99.83%
 全身麻酔手術を受けた患者さんのうち、手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与された割合を示しています。

 手術開始前1時間以内に適切な抗菌薬を投与することで、手術中の血中および組織内の抗菌薬濃度を十分に確保でき、術後の感染発生を予防できると考えられています。
 当院では積極的に予防的抗菌薬投与を実施し、術後感染の予防に努めています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
79592 47 0.06%
 期間中の退院患者の在院日数に対する、褥瘡(d2:真皮までの損傷以上)の新規発生率です。
 褥瘡は、患者さんのQOL(生活の質)低下をきたし、感染を引き起こす原因となるなど、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。
 当院では多職種の医療スタッフが連携した褥瘡対策チームにより、褥瘡発生予防に努めています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
5448 4850 89.02%
 65歳以上の退院患者さんのうち、48時間以内に栄養アセスメントが実施された割合です。
 栄養アセスメントとは、個人の食生活、栄養摂取状況、身体の健康状態や口腔状況などを
総合的に評価し、栄養に関する問題点を明らかにすることです。
 当院では早期に低栄養リスクを評価し適切な介入をすることで、栄養状態の悪化や・重症
患者さんの感染症合併症の減少・回復の促進などに努めています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
87971 2313 2.63%
 期間中の退院患者の在院日数に対する、身体的拘束の実施率です。
 身体的拘束の割合は、認知症患者さん・高齢患者さんの割合、代替策の整備状況など、医療機関の性質によって大きく変動します。
 当院では「身体拘束に依存しない看護」に取り組み、身体的拘束実施率の低下に努めています。
更新履歴
2025年9月30日
令和6年度版病院指標を公開しました。